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都留 智仁; 加治 芳行; 渋谷 陽二*
Journal of Computational Science and Technology (Internet), 4(3), p.185 - 193, 2010/09
塑性変形の基礎メカニズムである転位の運動の最小エネルギーの運動と転位芯構造について、原子論的状態遷移解析を用いて検討を行った。従来のPeierls-Nabarroモデルなどの解析モデルでは、転位の一次元運動を仮定しており、Peierlsポテンシャルの正当な評価が困難であるため、転位の運動に伴う構造緩和を考慮することが必要となる。本研究では、刃状転位とらせん転位の準静的な運動に対して、並列計算を用いた状態遷移解析を行い、すべての自由度を考慮した再安定の最小エネルギー経路を評価した。その結果、転位芯はジグザグに運動することにより、最小のパイエルスポテンシャルを生じることがわかった。そして、広範囲の弾性場に加えて短距離の原子の再配列が、実際の転位の運動を再現するうえで重要であることを示した。
都留 智仁; 渋谷 陽二*
Journal of Computational Science and Technology (Internet), 2(4), p.559 - 567, 2008/11
結晶材料のナノインデンテーションにおいて、弾性変形から押込み変位が不安定に増大する変位バーストと呼ばれる現象が発現することが広く知られている。そのメカニズムについて、転位の運動や酸化皮膜などの影響が考えられるものの、明確な原因は未だわかっていない。本研究では、押込みにより生じる弾性ひずみエネルギーが、転位の自己及び相互作用エネルギーに変換される理想的な数理モデルを構築した。そして、押込み下では、転位の自己エネルギーよりも相互作用エネルギーが支配的となる高密度な転位群が生成されることを示した。また、変位バーストは同時に数百もの多数の転位が生成され、生成される転位双極子による表面ステップによって引き起こされることを明らかにした。
都留 智仁; 渋谷 陽二*
Journal of Computational Science and Technology (Internet), 2(4), p.459 - 467, 2008/10
結晶材料に対する押込みによる荷重-変位関係において、変位が急激に増大する変位バーストが報告されている。転位の集団的射出がこの現象の要因であると予測されており、本研究では分子動力学法を用いて単結晶アルミニウムと銅に対する押込みを行い、押込み下のナノ塑性現象に関する検討を行った。その結果、圧子下には非常に大きな圧縮応力場が生成され、それによって転位生成の臨界せん断応力は大きく上昇することを示した。また、押込み下では多重すべりを生じやすい応力状態が生成され、射出された転位は異なるすべり面上の部分転位とエネルギー的に不安定な相互作用を生じることを示した。
櫛田 慶幸; 奥田 洋司*
Journal of Computational Science and Technology (Internet), 2(1), p.81 - 91, 2008/00
地球シミュレータは、8個のベクトルプロセッサーを持つ共有メモリ計算ノードを、ネットワークにより640個接続した、階層構造を持つ並列計算機である。このため、その性能を発揮するために、3段階の並列化を考慮する必要がある。すなわち、ノード間並列,ノード内並列,ベクトル化である。本研究では、ノード間並列機能を持つ有限要素法コードに対し、ノード内並列,ベクトル化機能を追加し、その性能向上を評価した。その結果、もとの性能に比較して、最大で30倍の高速化を達成した。また、ユーザーが利用可能な範囲で最大のプロセッサー数である4,096プロセッサーを使用したときに、10テラフロップスを超える性能を達成することができた。これは、理論性能の約30%である。
櫛田 慶幸; 奥田 洋司*
Journal of Computational Science and Technology (Internet), 1(1), p.2 - 13, 2007/00
構造物応力解析において、応力特異性はしばしば確認される。応力特異性は、有限要素法などの数値計算において求解までの時間を長くすることがわかっている。これは、並列有限要素法において特に顕著になる。本研究では、並列有限要素法において、並列計算時に必須である領域分割法の様式を変化させることで応力特異性を含む問題における、求解までの時間を、最大で15%短縮した。